始めの言葉

「プリンターから印刷できて当たり前」と、ユーザーからもSIerからも軽視されがちなプリンターの世界ですが、実際にはお困りだったり、思ったような印刷結果が得られないまま我慢してお使いの皆様のために、今までの経験が役立てばと、このブログを立ち上げました。印刷の基本から、応用情報、問題の解決方法を情報発信すると共に、PDF化など、これからどうするかについても、ご相談に乗れれば幸いです。ご質問はコメントでお寄せください。

2015年9月9日水曜日

HPT機能を使った印刷 - 簡単な双方向通信可能なOUTQを作る方式 -

前々回でお話ししたリモート OUTQ を作る方式は、単なる LPR 印刷なので、プリンターに対して印刷データを送信するだけの方式です。そのため、プリンターの電源が入っていなかったり、用紙切れが発生していても、それをエラーとして検知することはできません。今回、お話しする装置記述を作る方式では、TCP/IP の世界で定義された SNMP(Simple Netwrok Management Protocol)を使って、簡単なエラー状態を OS/400  が把握することができます。
注意 : 装置記述の作成は特殊権限が必要なので、ユーザーIDは、QSECOFR で行なってください。

1. 先ず、次の手順で装置記述を作ります。5250 端末画面で、"CRTDEVPRT"というコマンドを入力して F4 キーを押します。この画面で使用しているパラメーターは、次のようになります。
CRTDEVPRTを実行した画面-1
  • 装置記述 : 任意ですが、この名前はそのまま OUTQ の名前になります。(なお、ライブラリーは自動的に"QUSRSYS"になります。)
  • 装置クラス : "*LAN"が指定です。
  • 装置タイプ : "3812"が指定です。(余談ですが、3812 は1980年代中期に発表された英数データ用のページ・プリンターです。A4とレター・サイズの用紙に対応し、PCには"Proprinter"モードで接続し、他にホスト・システムにも接続可能なモデルでした。)
  • 装置形式 : "1"が指定です。

2. 実行キーを押して表示される画面で、"LAN接続機構"に"*IP"を指定してから実行キーを押すと、次の画面になります。パラメーターは次のように指定します。
CRTDEVPRTを実行した画面-2
  • ポート番号 : "9100"が指定です。
  • フォント 識別コード : "11"が指定です。
  • 用紙送り : 通常のカット紙用のレーザー・プリンターの場合は、"*AUTOCUT"が指定です。(連続用紙の場合は、"*CONT"になります。)
その下の"印刷装置エラー・メッセージ"が、デフォルトの"*INQ"の場合は、OS/400 にエラー・メッセージが通知され、メッセージ応答が求められます。"*INFO"に変更した場合は、エラー・メッセージが通知されるだけです。



3. パラメーターを入力したら、次ページの画面を表示します。"非活動タイマー"に"*SEC15"を指定してから実行キーを押すと、次の画面になります。
CRTDEVPRTを実行した画面-3
ここで重要なのが、"ホスト印刷の変換"です。"*YES"にすることで、OS/400 が印刷データを、その下の"メーカー・タイプ, 型式"で指定する形式の印刷データに変換して、接続先のプリンターに送信します。
"メーカー・タイプ, 型式"で F4 キーを押すと、前々回お話した、リモートOUTQ を作成する時と同じ選択肢が表示されます。
http://as400printhelp.blogspot.jp/2015/08/hpt-outq.html
ここでは、PAGES プリンター用として"*IBMPAGES300"を指定します。
なお、その下の"用紙入れ1、2"は給紙トレイ、"エンベロープ・ソース"は封筒用のトレイを意味しますが、まだ試してみたことがありません。

4. 次ページの画面ではパラメーターを次のように指定します。
CRTDEVPRTを実行した画面-4
  • リモート・ロケーション : プリンターのIPアドレスか、ホスト名を指定します。
  • システム・ドライバー・プログラム : これは"*IBMSNMPDRV"が指定です。この指定によって、OS/400 は、プリンターが"SNMP"の規格に従って把握している状態を知り、エラーの場合はエラー・メッセージを通知することになります。







5. 実行キーを押して装置記述が生成できたら、後は、"STRPRTWTR"コマンドを実行して OUTQ を使用可能な状態にします。

では、この OUTQ を使って印刷した場合、実際にエラーはどのように通知されるでしょうか ?
1. OUTQ "SP8200"のプリンターが、電源 OFF の場合
メッセージ : CPA3387 : (C R) 装置 SP8200 が使用できない
プリンターが電源OFFの場合

この後、プリンターの電源を入れて、"R"で応答すると、印刷可能になります。









2. OUTQ "SP8200"のプリンターが、用紙切れの場合
メッセージ : CPA405C : (C R) 装置 IP8200 の入力トレイに問題がある
プリンターが用紙切れの場合

この後、用紙を補給して、"R"で応答すると、印刷を再開します。
再開する開始ページを指定することはできませんが、プリンターの電源を切らない限り、プリンター内部のメモリーに保管されて印刷処理を待っているページから印刷再開しますので、問題は無いはずです。






3. OUTQ "SP8200"のプリンターが、用紙ジャムの場合
メッセージ : CPA404D : (C R) 装置 IP8200で用紙ジャムが起こった

この後、ジャムした用紙を取り除いてプリンターを印刷可能状態に戻して、"R"で応答すると、印刷を再開します。印刷開始ページを指定することはできませんが、プリンターの電源を切らない限り、プリンター内部のメモリーに保管されて印刷処理を待っているページから印刷再開しますので、問題は無いはずです。

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